革を曲線に切るって、結構気を使いますよね…
CNCフライス盤をカッティングマシン(カッティングプロッター)化で革や合皮を切ってみた
約10年前、CNCフライス盤を購入してから、ず~と、「カッティングマシン(カッティングプロッター)化してみたいな~」と何となく思っていたのですが、何とな~く、先伸ばしになっていた案件です。
今回、ふと、「やってみよう!」と思い立ったので、実験です♪
とりとめのない、能書きだらけの、ダラ~とした話になりそうですが、お暇なら、お付き合いくださ~い♪
*全て、素人の思い付き、思い込みによる実験ですので、間違ったことも多々あると思います。
また、CNC関連に興味のない方には 全く面白くない内容ですwww
ということで、能書きから始まりますwww
モノを作る工程には必ず「切断」がありますよね。
手作業での切断は 直線はともかく、曲線に切るって、中々面倒なこともありで…

アクリル板や、木材、革などはレーザー加工機を使えば、どんな形にも短時間でカットできて、とても便利なのですが、性質上、切断面が焦げる(黒くなる)デメリットがあります。
もっとも革なら、コバ処理を丁寧に行うことで、仕上がりには問題ないのですが…

塩ビが含まれている素材はレーザー機ではカットできません。
なので、カッテイングシートは

「刃」で切るタイプのカッテイングマシン(カッティングプロッター)を使ってカットしているのですが、ウチにあるタイプは あまり厚い素材は使えないので、
*カッテイングマシン? カッティングプロッター?
どちらで呼ぶ人が多いのかな?
面倒なので、以下「カッテイングマシン」に統一しますww
ちなみに、ブラザーのカッティングマシン SDXシリーズなら、3mmまでの革や合皮もカットできるらしいが、その為だけにもう1台買うというのもナンだしね~

なので、CNCフライス盤を使って、合皮や革をカットしてみたいな~と思っていたのです(笑)
以前より、カッティングマシン化できるという話は聞いていたのですが、ネット上では具体的な情報が少なく(探せないだけ?)実践していなかったのですwww(それが原因?!)

通常フライス盤は エンドミルと呼ばれる「横にも切れる刃」を回転させながら上下左右方向に移動しながらカットしていくのですが、合皮や革のように柔らかい素材は回転の力で「めくれる」為、キレイにカットできません。
そこで、「ドラッグナイフ」と呼ばれるモノを使用する必要があるのですが、検索すると…値段が、た・た・高いwww
とりあえず、どういう仕組みか?具体的にイメージが沸かないので、

カッティングマシンに使用しているタイプ「ブレードビニールカッター」と呼ばれるモノが 替え刃30本付きで、2000円以下だったので、試しにポチっと♪

刃の部分はフリーにクルクル回る感じで、刃の先端が僅かに中心からずれていることで、カット方向に刃先が向くという仕掛けらしい♪


続いて長方形もカットしてみた。
角が若干丸くなっているので、補正が必要っぽいですが、カッテイングシートを切ることが目的ではないので、ここで、一旦終了www

大体の仕組みが分かったところで…
ビニールカッターの刃先は小さいので、合皮や革がカットできるように、デザインカッターの刃が装着でき、フリーでクルクル回せる装置(ドラッグナイフもどき)を作ります。

さらにウチに余っていた内径6mm外形10mmのベアリングと、何かをバラしたときのシャフト(これも適当w)を利用します。

シャフトの外径は6.2mmほどで、ベアリングが入らなかったので、ミニ旋盤で少し削って使います♪

ピタっと嵌りました♪
中央部の段差より上はチャックに装着する部分なので、削りませんでした♪

何かのローラー?は センター穴を一旦レジンキャストで塞いでから、適当な長さにカット。
その後、旋盤で形を整え、ベアリングが入る穴を開けます。

で、上半分を直径の1/2で、垂直にカット
これはフライス盤で削りました♪

刃(デザインカッターの刃)を押さえるパーツを作ります。
レーザー機で、アクリル板をカットして、刃の形に刃の厚み(より僅かに浅く)溝を掘ります。
ネジ穴は横に長くすることで、刃のオフセットを調整できるようにしてみました。

ベアリング3つとシャフトを組み込み、刃を取り付けた状態。
製品ではバネを仕込むことで、素材を突き抜けないようにしているようですが、固い素材の場合、逆にネックになる気がして…
刃圧を調整できるようにするとイイのかもしれませんが、面倒なので、確実にカットできるように、素材の下に刃を傷めない材質の「捨て板」を敷くことにして、「ノーサス仕様」にしましたwww

早速カットしてみます。
まずは「円形」
約0.8mmの合皮をカットしてみましたが、ほぼ問題なく切れました♪

続いて、長方形♪
こちらも難なくカットできましたが、角が若干丸くなっています。
刃先のオフセットは約1.5mmですので、方向が変わるとき、その分、内側を回ってしまうのが原因ですね?!

そのため、オフセット分を補足してやる必要があるのですが、
ドラッグナイフ等を作っている会社から、便利なソフトが無料で使えるとか?!
https://donektools.com/free-cnc-router-software/ の赤丸部分からダウンロードできました。

開くと、エクセルを使って、座標の数値を変えたり、加えたりしてくれるようです
Blade offsetにオフセット値を入れ、Swivel Heightは 刃が回転するときのZ値。素材から完全に離れると、刃が回転しないので、素材上面をZ=0とした場合、-0.1位が妥当かな?!
カットしたいデザインをCAMで設定してファイルを保存してから、上記の数値を打ち込み、「Add Comer Actions to aFile」を押すと変換され保存先を聞いてきます。
このとき、座標数値しか変換されない(ヘッダー部分や、F値が消えたりするので、「Header Line」に記入したり、変換後のファイルを開いてから、修正、書き加えるなどします。
コードのファイル種類によって異なると思いますが、ウチの場合(ngc)では必要でした。

補正後のデーターでシュミレーション画面を確認してみます。
少し見ずらいですが、4つ角部分はすべて「通り過ぎてから、刃を少し浮かせて回転させているのがわかります♪(わからない?www)

再び長方形をカットしてみました。
左が補正前、右が補正後です。
比べてみると、補正後の方が、角が出ていますね?!

ならば、もう少し複雑なデザインを…ということで、キーケースやサイフの装飾に使うようなパーツのデザインに♪
手作業では ちょっと面倒なデザインですよね?!

まずは 補正なしでカットしてみました。
やはり、角が丸くなっていたり、一部に切れ目が入ったり…(中央の山の部分)

なので、上記同様に補正してシュミレーションしてみましたが…何だか怪しい…www
拡大して見ると、一部、刃と逆向きに動く箇所がある…

一応、カットしてみましたが、酷い状態ですwww
他にも設定が必要なのか?
元データ(図面はdxf)のパスの問題か?

よく分からないので(笑)、いっそのこと、こんな図面を描いてみたw
切り始め部分は 刃の向きが自動で向くように、助走ラインを♪
角部分は 刃が確実に通り過ぎてから、緩やかに回転して、交差してカットできるように♪
補正ソフトは使わずに、そのままカットします。

下が 今回カットしたモノです♪
上が先程の「補正」したモノです。
比べると一目瞭然ですwww
補正ソフトを使うより、元図自体を工夫した方が良さげ?!

続いて、星型です。
こちらも、補正ソフトを使わずに、図面を工夫してみました。

「入隅」箇所はそのままなので、若干丸くなっていますが、「出隅」(先端の尖っている箇所)はしっかり鋭角にカットできました♪

ちなみに、切り抜かれた側(表現方法がわかりませんwww)はこんな感じで、星型の外で刃が回転しているのがわかりますね♪
ただ…この「切り抜かれた側(表現方法がわかりませんwww)」を使いたい場合は 図面に別な工夫が必要ということで…
文章がハチャメチャになってきてますwww
「何言ってるか?わかんねーよ!」という方へ
「自分でもわかりません」
軽く受け流してくださいwww
という訳で、更に続きます♪

今度は厚さ約1.5mmの合皮です。
これは 革で本製作する前に、試作で使うこともある素材です。
何せ、1ds数十円ですからwww

バキュームテーブルを作ってみることにします。
適当な図面を描いて、アクリル板をレーザー機で切り出します。

底板にボルトが貫通する穴を開けて、テーブルに固定♪

天板は等間隔に穴を開けて、捨て板となる薄い発砲板(ダイソー)も同じ大きさにカットと、同じパターンで穴あけ♪

天板と捨て板を穴の位置がズレないように、スプレー糊55で仮固定。
捨て板がボロボロになったら、すぐに交換できますね?♪

吸着力が増すように、素材の大きさ以外は コピー用紙で覆います♪

素材を置き、集塵機ON!
結構な勢いで貼り付いています♪
切り込み量は 「凹み」や「縮み」「逃げ」を考慮して、合皮の厚さ1.5mmに対し、1.8mmに設定

カット開始!
刃が一周して、終了。
意外と、あっさり切れました♪

取り出してみると、こんな感じ♪
裏面の繊維が若干ボソっている箇所もありますので、多少、Z値の設定や、図面に工夫が必要かもしれませんが、十分に実用範囲です(自分比www)

次は星型♪
刃が回転する箇所(鋭角部分の外側)で、刃の抵抗(?)で一瞬合皮がめくれそうになりましたが、バキュームテーブルの吸い込みのおかげ(?)で、難なくカットできました。

断面はこんな感じです♪
一部、ボソっているようにも見えますが、この素材の特性のようで、ナイフ1発で切っても同じでしたw

実験はまだ続けますw
約1.8mmのヌメ革(タンロー)を試します。
結構固めの革ですが、コレが出来たら嬉しいかも?!

本ブログでも、色々実験台になってもらっているw、基本中の基本形(?)の標準的なキーホルダーで試します。

型紙(図面)的には こんな感じ。
角や急なカーブがなく、全体が緩やかな曲線のみですので、特に図面の変更や補正をせずに、そのままCAMでコードを作ります♪

但し、この固めの革を一気に切り出すのは少し無理があるかも?と思い逃げや縮みも考慮して、0.7mmずつ3回に分けて計2.1mm切り込んでみる。
と言っても、この革の床面は 粗目の太い繊維なので、刃の抵抗を考えると、スプレー糊を併用したいところですが、床面が荒れてしまうのが嫌なので、やはり、バキュームの力だけで試してみます。

本来、レザークラフトでは「革のカットは一度で切り落とす」が理想ですが、手作業で曲線を一発でカットするのは 結構大変なのですよねぇ~(下手なだけ?!)
CNCなら、正確に何度も同じ軌道で切り込んでいけるので、大丈夫でしょう♪(理論上w)

3周して、無事に切り抜くことができました♪
簡易バキュームテーブルのみで固定しましたが、全然問題なく貼りついてくれましたww

この形なら、刃のオフセット分を逃がす必要がないので、「切り抜いた側」も「切り抜かれた側」もそのままの形で切れますね♪
ということで、「CNC旋盤をカッティングマシン化して、合皮や革をカットできる」ということまで実感できましたが、実用化(常時使い)するには材質やデザインにより、刃の速度や切り込みの数値、カットデーターの工夫など、色々試してみる必要がありますし、「オフセットの補正」ソフトに関しても、もっと調べてみたいので、何か進展がありましたら、追記します♪
↓カットした時の動作確認動画です↓
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